エルトン・ジョン3 エルトン・ジョン 1970/10/30
豪華ジャケと言えば、 金満王国国王エルトン・ジョンこときんどうさんです。 メガネを取って毛を植える前までことごとく(カリブウ除く)豪華絢爛。 金襴王国以前、極貧小国の時もそうです。 同じDJMレーベル所属のジョニー・ギター・ワトソン兄貴のぺらぺら低予算ジャケとは雲泥の差で。まああれは兄貴に似合ってるからだろうけど。 このエルトン史の中で最も地味、誰も何にも言わないアルバムでも凄いぞ。 開けば中に1曲1曲の歌詞と共に挿絵入り、文字通りこれぞアルバム、詩集アルバムになってる。 現在CDで日本盤は紙ジャケ・・この盤はそれ持ってないんでこれがどうなってるのかわからず。 キャプテン・ファンタスティックの小冊子もミニチュワで付いているって噂を聞いた事が有るんで多分再現されているんだろうかと。
エルトン・ジョン3 〜Tumbleweed
Connection
英国発売日1970年10月30日。タンブルウィードとは、転がり草の事で、西部劇のゴーストタウンで吹き荒ぶ空っ風、見れば飛んでくる塊の枯れ草。 あれです。 転がり草つながり・・・日本盤担当者の方、さぞかし困ったかと。それじゃ押し出しまるで無しで。 困ったあげく”エルトン・ジョン3”って。まんまじゃ。 帯の売り叩き文句は”ロック・エイジのトゥルバドール、エルトン・ジョン!”。訳わかりません。 これまた心情痛いほどわかり。このアルバムの素敵さって何て書いたらいいのかーー。 だから誰も黙ってるのさ。関わった世界中の人々は。 前作では”ユア・ソング”と言うキラー・ナムバーが有りました。それを筆頭にブレークに相応しい名曲揃い。 しかし重かった。暗かったわ。あの漆黒のジャケ同様。若いヤツラのコンプレックスをぎゅうぎゅう詰めにした如く。 それほどのコンプレックスですから、あれほどやってもそう簡単にとれるものでは有りません。 ステージ上で、デカ派手眼鏡、鳥羽根デカ帽子、金ぴか衣装で開き直ってきんどうさんに変身するまでそれは続きます。 そしてそれが初期エルトンの変えがたい魅力となって。 誰も何にも言わないけど、うんうんって愛してる。
転がり草・・・ エルトンとその詩人相棒バーニー・トーピン氏、二人の憧れのアメリカ・アルバムと為しました。 カナダ人多のザ・バンドのブラウン・アルバムが如く。 しかしあちらを聴けば、「ああ、アメリカだ。そうだそうだよな。」と実際はあんな、あのまんまなアメリカ音楽が無いのに思うのとは反対に、 こちらは、同じようにこんなアメリカ音楽は無いのは同じだけんど、「何だろう?こんなアメリカ見たことも聴いたことも無い。」 どこのアメリカなんだろう。 この二人の耳と頭は最初っから、常人とは違う風景を見ていたようです。結局エルトン音楽でしか有り得ない。 暗黒度は、どーんと減少してます。アレンジャーは同じポール・バックマスター氏であるに関わらず。 お得意の標高8千メートルの分厚さのストリングスを封印してるからでもある。 すっかり風通しが良くなって。良くなり過ぎて空っ風が吹いて、草が転がってるのさ。
珍しいことに人の歌を唄っています。レスリー・ダンカン嬢の”愛の歌”。はっきりわかる作風の違い。 メロディの起伏無し。映画で言えば、お休み所の静けさのように際立つ。 そして続くは”過ぎし日のアモリーナ”。誰も何も言わない歌の筆頭。 きっとエルトンにも誰もこの歌の良し悪しについて誰も何も言ってあげなかったでしょう。 それでまたコンプレックス倍増したかもしれんけど、それでアルバム・チャート英最高位6位、米最高位6位。 みんな好きだったんです。ただその好きさをどう伝えていいかわからなかっただけで。 同じように感じたロッド兄貴は”カントリー・コンフォート”を歌った。
金満王国王となった今のエルトンさんには、それこそ、こっ恥ずかしい若気のいたり盤かもしれぬけど、 こちとら忘れてません。忘れてやるものか。 みんな、こっ恥ずかしい若気のいたりの時が有って、 それは今となっては懐かしい通り越して愛しくてたまらなくなってるからです。

(山)2008.10.30
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エルトン・ジョン3
+13<デラックス・エディション>(紙ジャケット仕様)
Tumbleweed
Connection

A Dog Day Afternoon - Amoreena (Elton John)
http://jp.youtube.com/watch?v=EYk2IaHxUeA
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