タクシー・ドライバー オリジナル・サウンドトラック 1976/2/8
こんにちわ、日常洋画劇場です。 先日、長いこと見たかった松竹の恐怖SF映画、
「昆虫大戦争」 「吸血鬼ゴケミドロ」
をたて続けに見まして、ただただもう唖然 。 東宝の「世界大戦争」も凄かったけど、こちらの何と申しましょうか、遠慮無し、 見もフタも無い度は、日本でこんな映画を作っていたのか、しかも寅さんの松竹だぜ。 描いてる世界はまことに正論、ラストもなるべくして起こるもの。 だからこそキツイ。 どなたかが、本当のことこそキツいことは無く、誰かを傷付けてしまうことを覚悟で言わねばならない との語を残したそうですが、
そうだよ。
アメリカン・ニュー・シネマです。 見ないですましていたことを見る映画。 しかもハードボイルド。
タクシー・ドライバー
1976年度作品。ロック・ファンにはラスト・ワルツを為した人で脳裏に刻まれるマーティン・スコセシ監督出世作。 大傑作です。 しかしキツい一発。 ロバート・デ・ニーロ氏主演。 文字通りタクシー運転手役。 景気ウォッチャーとして聴き取り調査で世の動向を知らしめる存在であり、一方では完全一人で仕事をする職業。 世の無常を知りたくなくても垣間見てしまう。 まともな人なら憤慨すること多くして当然かもしれません。 しかし孤独。

その孤独を行き着くとこまで見せる映画。 正義感を狂気として見せてしまう映画。

孤独な正義感は、ハードボイルドの基本すが、あのうらぶれたカッコよさは無し。 なんつたって職業が探偵じゃ無くタクシー・ドライバーすから。 同義的動機が無い。 社会に憤慨するも私情を挟んでの、大物抹殺計画は、必殺仕事人のごとくうまくいくはずもなく、ビビって逃げるっつう。 そして 近くで抹殺すべき敵を見つけられたは幸運だったかもしれません。 誰もが認める社会のダニを。 ハードボイルドの基本として、必ず倒すべき敵に一回は肉体をぼろぼろにされるっつう場面有り。 この主人公は、孤独に心をボロボロにされます。徹底的に。 何しろ倒して守るべき相手との会話、まるで成立せず。感謝されるかどーかもわからん。 最後には世の中って曖昧もこもことした相手に感謝されるんすが。 それで一度は満足してる様子っすが。
それを見ているこちらは、シュワツネガー氏の映画みたいにスッキリ出来るか?てゆうとそうなのか。
悲しくて恐ろしくて何とも言えぬ気持ちが残る。
その映画の音楽を担当したは、あのバーナード・ハーマン氏。 気が付かなかった、迂闊にも。長い間。 遺作だと聞きます。 知れば、思い切りバーナード氏の仕事では無いか。

気が付かぬは、テーマ曲です。このジャジーなニューヨークの夜のしじまをシジマールを表すにどんぴしゃの名曲。 これまたニューヨークを吹かせたら天下一品のサックス吹き、トム・スコットさん。 このテーマの旋律、どこかで聴いたことがあるような気がして仕方なし。 アメコミ・アニメのディック・トレイシーだったかと思ったが、違うみたいで、 思い出せなくて、気持ち悪いす。どなたか助けてーーー。 して 70年代の街の空気だったジャズ・ファンクの渦巻き。ハーマンさんが作曲したのか! して B面、 映画後半になるに従い、本領を発揮なさる。 その艶やかさ、華麗さを込みだったテーマが、次第にあのヒッチコック監督のサイコの ”ぴーんぴーんぴーんぴーん” の如く切り刻まれて行く。 狂気そのものの音楽。
これが映画音楽です。遠慮も何も無い音による描写。
日常が有ってそれが壊れていくが一番の恐怖。 70’s不遇だったとゆうハーマン師、最後の最後に放つ渾身の。
現実を描いた映画のもっと恐ろしいことは、 現実はさらに殺伐とし、やり切れないことが起こってしまうってとこ。 孤独の狂気に追い詰められた主人公がもし、幸運にも身近な社会的敵に出会わなかったら。
考えるに身震いすることが実際に起こってしまい、その恐怖が収束せずなお 続いてることです。
NHKの番組みたいに、
「今改めて考え直さなければいけないんじゃないんでしょうか?」
で終わらせて、終わりって訳にはいかないんだよ。

(山)2008.7.23
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「タクシー・ドライバー」オリジナル・サウンドトラック
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Taxi
Driver: Original Soundtrack Recording
タクシードライバー
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Best Of Taxi Driver
http://jp.youtube.com/watch?v=Dax5dsaLfl8
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