カニス・ループス ダリル・ウェイズ・ウルフ 1973
「お客さん、すいませんが相部屋お願いします。」
「あー、いいともいいとも。旅はお互い様じゃ。」
「わ”−−−」
「おお、めんこいワラシじゃのう、こっちおいで。 爺の膝の上に来なれ。」
「大ゴロウ!
どうも失礼つかまつった。」
「おお、お主は・・・」
「ひさかたぶりでございます。水戸様。」
「どなたですか?このお方は?」
「格さん、忘れたか。この御仁じゃ。今、世間を騒がせておられる子連れ狼さんは。」
「では、あの元公儀プログレ介錯人の狼”ダリル・ウェイ”一頭様。」
「今は冥府魔道に入りし一介の浪人。どうかお構いなく下され。」
「え、え、こ、この人があの一殺五百両の子連れ狼!わ、わ、メシが喉に詰まった。」
「大丈夫じゃ、ハチベエ。この御仁は無縁の者をむやみに殺生する方では無い。 大望をお持ちだ。しかしまあその大望で今日は何人、プログレ者をお斬りなさったかな? だいぶ血の臭いがするようじゃが。」
「・・・・・・・」
「フリップ一族かね? まあ、よい。おお、この子が一子ダイゴローか。良いお子に育ちましたなあ。」
「お爺ちゃん、こんにちわ。」
「はい、こんにちわ。 何?このレコードをかけて欲しいのか?」

「それは何でございますか、ご隠居。」
「これか。これはのう・・・おお、これが狼風解状盤。 ハチベエ、そこにあるレコードプレーヤーでこれをかけてみてくれ。」
「え、もう晩飯ですよ。腹減ったなあ。しかも江戸時代だしそんな南蛮の機械、あるわきゃないじゃないですか・・ って、有ったよ。かけます。」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

「これがあのプログレ必殺剣、水鴎流の極意ですか。」
「何かなあ、録音が素っ気無いなあ。地味で。それにヴォーカルも頼りないし・・。 これならアッシの方が上手く・・・。」
「こらハチ、こうゆうのが繰り返しで威力を発揮するんだ。滅多なことを言うと頭から斬られて真っ二つにされちゃうぞ。」
「こりゃうっかり。申し訳ありません。斬らないでーーー。 で、ちなみに誰がプロデューサーなんですか?」

「イアン・マクドナルドうじでござる。」

「えっ!マクドナルド。美味しそう。」
「こらハチ。そのマクドナルドじゃない。プログレ界ではこの世に二人といない無双剣の達人イアン殿のことだ。」
「へえ、人なんですか?それじゃ喰えないなあ。」
「ごほん。あ、そういえば、ご隠居、意外ですな。私には何かロキシー・ミュージックの匂いがいたします。」
「そうじゃな。未来の空気が有る。このギター、見事じゃ。どなたがお弾きになっておるのかね?」
「ジョン・エサリッジうじでござる。」
「おお、あの後年ソフト・マシーン入りなさった。いや納得しもうした。 それにしてもA面は穏やか。そなたの心の奥底の悲しみが詰まってるようじゃのう。」
ばすっ!!
「あ、風車だ。ご隠居、親分からです。」
「何々・・・助さん、これを。」
「ご隠居、危ない。こちらへ!!」
だだだだだだっ。
「B面インスト・サイドに入ると同時に現れたな、フリップ一族!」
「一刀、年貢の納め時だっ!!」
「ぐわ」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「お見事!さすが子連れ狼。凄い太刀さばき。」
「実はワシはヴァイオリン・フェチなんじゃ。たまらんたまらん。かっかっかっかっか。」
「それにしても打って変わってえらい迫力ですなあ。これはマザースのバーント・ウィニー・サンドウィッチに匹敵するかと。」
「サンドイッチ!こりゃツイてる。いただけるんですか?」
「食い物のこととなるとハチは時と場所を選ばんな。」
「あ、いかん。また加勢が。ほれ、助さん格さん、ボーっとしてないで助けてあげなさい。」
「あ、はい。うっかりして。
ええい、この紋所が目に入らぬか!デラムの紋所だぞ。」

「早いよ。」
「何か目に入らぬようです、ご隠居・・・って言ってるうちにみんな斬っちゃった。」
「お騒がせいたして失礼つかまつった。」
「よいよい。見事な弦さばき、見せていただいて目の保養になっちゃったよん。
お、と言ってる内に、もう最終曲か、レコードは。 何とゆうタイトルなのかね、この哀しい調べは?
これがお主のこれが本当の気持ちなのか。」
「・・・・・・・・・」
「悲しみのマクドナルド!!」

「え、マックドナルド?喰いたいっ。」
「こらハチ。お前ってヤツは。
これは悲しいから、喰えないの。」
「あら、こりゃまたうっかりしちゃった。」
「あ、はっはっはっ。」
(山)2009.7.1
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カニス・ループス+2(紙ジャケット仕様)
ダリル・ウェイ&ウルフ

Darryl Way's Wolf - McDONALD'S LAMENT
http://www.youtube.com/watch?v=2Yyto_ktW1E
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